鎌倉 谷戸の2つの古民家

谷戸に並ぶ2棟の古民家。1棟は2018年より改修工事をしています。改装工事は工務店を営む私達の実験も兼ねており、現在は屋根工事中で2022年春ごろより貸し出す予定をしています。また、2021年より仲間入りした隣の棟も、改装を始めています。2022年夏頃よりアトリエ付き住宅として貸し出す予定をしています。

自然豊かな土地の小さな古民家の改修工事

鎌倉「谷戸」。源氏山の南斜面、海や山からくる風のなかにひっそりとある建物は継続的に改装しながら、エリアを含めた再生を目指しています。まず最初に手掛け始めた一棟は築50年以上経つごくごく普通の木造住宅でした。鎌倉駅と北鎌倉駅の真ん中辺りに位置します。扇ガ谷エリアに入ってからは緩やかな坂道を歩き最後は70段近い階段を登りアクセス。到着する頃には息があがりますが、高台ならではの谷戸を見渡す景色は格別です。樹々に囲まれた空気は気持ちを落ち着かせてくれます。

当初の姿

工事を始めて4年目。空間の変化を楽しみながら改装をしています。修繕の過程で表面的な仕上材を撤去し、基本となる木構造を露わとしました。

天井板を外しヴォリュームを増し、間仕切り壁を少なく外部との繋がりを感じる空間としています。

この場所は木々に囲まれ静かな時間を提供してくれます。静かな時間は追い風となり、考える事や想いを巡らせ豊かな時間へと促してくれています。

現在の様子

改装の過程を instagram 谷戸の古家改修 でご紹介しています。http://www.instagram.com/yatonofuruiekaishu/

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谷戸という場

「谷戸」は木々や小山に囲まれている鎌倉に多く見られる特有の(ユニークな)地形。扇ガ谷一帯の「谷戸」をこの建物から一望でき、風が吹けばあたりの木々が揺れ、まるでここ一帯が波のように揺らいでいるのを感じます。夜はシンと暗く木々の葉の擦れる音のみがざわめき、朝日と共に色が流れ出します。地球の動きを光の色で感じる場です。

「谷戸」は文字通り山間の谷間で、春は木々が萌え芽吹き、夏は虫の声がジージー、蝉が羽化し大人になりミーンミーン・カナカナと、鳴き声が山にぶつかりこだまとなって大合唱が谷に響き渡ります。

神秘的、美しい色。羽化する蝉。

庭の木にて。

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生き物たち

秋には色鮮やかに綺麗な紅葉。リスが枯れ枝の上をタタタタッ!と元気に走り回る冬は、あちらこちらのお家の庭の夏ミカンを食べつくす姿が観察されます。

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谷戸の風まかせ

この場所を、私たちは「谷戸の風まかせ」と名づけました。

ロゴのモチーフは風にふかれた葉っぱと木造の構造体です。自然界という空間の中で過ごす心地よさを表してます。構造は建物の基本でそこに雨風を凌ぐ囲いをつけたのが建築の本来の姿です。更に工夫を凝らすのがそれぞれの建築の個性ですが、ここには華美で表面的な装飾はありません。余計なものは外し、この場所と一体になる空間を造る心がけをしています。

1日を過ごす中、自然の表情が豊かに感じられる場です。谷戸の自然の美しさと、時間によって微細に変化する環境を取り込んだ古民家。様々な出会いによって作られていく日々。時折吹いてくる風に任せながら更新してゆくこの場づくりを自然の流れに委ねています。

「谷戸の風まかせ」と名づけた所以です。

2階東側窓からの景色

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2棟目について 

隣には暫く使われていなかった空き家がありました。私達がここに来てからもひっそりとしていましたが、2021年久しぶりに訪れたという所有者に中を見せて頂くと、昭和時代に丁寧に作られた生活用品、民芸家具、品質の良い着物等が残されていました。何度かの話合いの末、ご厚意で中にある家財道具を含めて建物を譲り受ける事が出来ました。これらの家具・食器・着物をリサイクル、建物をリノベーションし、再生する事としました。

こちらの建物は「谷戸の風まかせ」と数メートルしか離れていないにも関わらず、窓から見る景色、入ってくる光、空間感覚が違います。山の斜面との関係性など土地の利用での違いが興味深いです。とてもとても空を広く感じます。日々変わる空模様、季節の違いによる雲の形や動きなどが楽しめます。

谷戸の風まかせ の窓から見る隣棟

動的な雲の流れ

この場所にある良さ、ここに建つ意味を探りながら再生していきます。現在内部の片づけと不要物の撤去工事を始めています。

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谷戸の地形

谷戸には鎌倉石の岩壁を活かした建物が多く存在しています。駐車スペース・作業場・祈りの場として、トンネルや横穴を掘り空間を作った様子を観る事ができます。近くには銭洗弁財天宇賀福神社があり、岩壁を利用した空間は見事な境内です。太古より岩壁を利用し、生える植物たち、共存する動物たちと良い関係を築いてきた事が見て取れます。

銭洗弁財天宇賀福神社
谷戸の風まかせから徒歩10分程度のお散歩コース

「谷戸の風まかせ」も同様に岩壁の上に建っています。細く長い階段や、その入り口は、日常から切り離された気にさせてくれます。

谷戸の風まかせへの秘境めいた入り口

鎌倉のあちこちで見られる洞窟

精神の落ち着きを

鎌倉には社寺仏閣が多く、洞窟や道端にはお地蔵さんが祀られています。夕方にはお寺の鐘の音が抒情的です。街中を歩いていても、山道を散策していても、日常に根付いた信仰を感じ心が安まります。山歩きをし樹々に囲まれると精霊に出会えるのでは、と、スピリチュアルな気分です。静かで下界と切り離されたこの場所では気持ち穏やかに過ごす事が出来ます。古くより作家やアーティストなど創造者達が多く住まわれている理由がわかります。

訪れてみてください。

私たちが建物改装と共に楽しむ「谷戸の風まかせ」。自然と共生するこの空間に滞在し是非ご体感ください。絶えず更新する空間の変化を愉しみに、ここにある心地よい時間を過ごしに、時折訪ねて頂ければ幸いです。改装が一段落しましたら、賃貸のご案内を致します。

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